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活動


● 第1回ビジネス日本語研究会のご報告

 

2010年6月18日(金曜日)、行政と企業と日本語教育の現場をつなごうという使命感のもとに、待望の第1回目ビジネス日本語研究会は盛会の中終了致しました。

ご参加いただいた100名を超える皆様、どうもありがとうございました。また今回申込みをいただいたものの、定員に達したためにご参加いただけなかった皆様、申し訳ありませんでした。

研究会は、代表幹事の堀井さんの研究会の趣旨説明から始まりました。ビジネスに関わる日本語教育のニーズは大きく、これからの社会への貢献の可能性が高いものの、教育と研究の連携がなされていないという問題が提起されました。そのため、まずは既存の課題を整理し、関わる者の視点や考えを理解しあい、解決策を練る場をつくる必要があること、そしてそれが研究会に今求められていることのひとつであることなどが説明されました。日本語教育の課題としては、育成していくべき力の明確化、教育内容(シラバス)の構築、教授法の開発が取り上げられました。

趣旨説明の後は、研究会の規約と今後の活動予定、幹事の選出が行われました。幹事は、堀井惠子(代表幹事)、奥田純子、品田潤子、春原憲一郎、近藤彩、事務局は神吉宇一が当面務めることになりましたので、よろしくお願い致します。

次に、JASの小平達也さんから「ビジネス日本語研究会への期待―企業から―」というテーマでお話をいただきました。期待することとして、①「多様なグローバル人材像」を念頭に置くこと、②ビジネス日本語が、人材マネジメントにおけるどの場面で、どう使われているかの理解把握を行うこと、③ビジネス日本語をよりよく活用するためには、「典型化された日本企業像」に基づくのではなく、経営戦略(経営組織論)やキャリア(組織行動論)といった視点も取り入れることの3点が挙げられました。「じんざい」が「人材」なのか「人才」なのかという問いも興味深いものでした。日本語教育に携わる教師は、企業の方から直接お話を伺う機会が少ないことから、日常の教育現場を再考する機会になったことと思います。

行政からは、経済産業省の内野泰明さんをお迎えしました。「わが国における人材グローバル化の状況とビジネス日本語教育への期待」というテーマのもと、人材グローバル化の必要性と現状、人材グローバル化に向けた今後の取り組みについて話されました。世界における日本の経済的地位の低下が心配される中、これからの市場は発展途上国、新興国へシフトされることが見込まれています。海外展開の最大の課題は「人材」であることは明らかですが、留学生の7割は日本での就職を希望しているものの、実際に就職できている者は3割程度であり、留学生をうまく活用できないというのが実態です。企業は留学生に対して、日本人と同等程度のことを要求することもあり、優秀な外国人が日本を素通りしてしまうことが懸念されます。アジア人材資金構想に続く新たな取り組みが必要となる中、産学官が連携した「産学人材育成パートナーシップグローバル人材育成委員会」ができ、議論が進んでいるとのことです。(委員会については下記をご参照くださいhttp://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/san_gaku_ps/global_jinzai.htm

最後は、日本語教育から、AOTSの春原憲一郎さんが「グローバリゼーションとビジネス日本語」について話されました。(資料は『AJALT』第31号(社団法人日本語普及協会2008)を参照)。ビジネス日本語というと、語学という狭い意味にとられがちですが、多様な仕事現場に関するコミュニケーションを取り上げていくことが教育現場や本研究会に求められていることや、職場と地域社会における言語・学習支援、多言語多文化環境の構築の必要性等についても考えていくことが必要とのことでした。そして実際に日本の製造業で働いている外国人企業関係者の方にご登場いただき、日本語をどのように学んだか、日本語を使用してどのように仕事をしているのか、日本人と仕事をしていく上で何が大切なのかなど、生の声を聞きました。

懇親会に出席された方はスピーカーの皆さんはもちろん、大学教員や事務の方、日本語学校の教員、企業関係者(製造業、コンサルタント、IT関連、人材派遣、異文化関連企業他)などでした。海外からは米国、オーストラリア、中国、韓国の先生方にもご参加いただきました。



第2回研究会は、2010年11月12日18時から政策研究大学院大学で開催される予定です。2011年は、研究発表や実践報告、ポスター発表などを予定しております。会員の皆様と協働して研究会をつくっていくことを目指していきますので、どうぞよろしくお願い致します。



報告者:近藤 彩(研究会幹事/政策研究大学院大学)


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