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ビジネス日本語研究会 第13回研究会報告(2014.11.21)

ビジネス日本語教育をめぐる問題意識から、ビジネス日本語教員養成を考える

2014年11月21日に武蔵野大学で第13回研究会を開催しました。プログラムは、「ビジネス日本語教育をめぐる問題意識から、ビジネス日本語教員養成を考える」をテーマにした5人のスピーカーによるリレー発題&ディスカッション並びに国際交流基金日本語国際センター25周年記念・Nikkei Asian Recruiting Forumセッション「ビジネス日本語教育を考える」の報告(近藤綾さん)です。

リレー発題では、まず、はじめに堀井惠子さんが、海外のノンネイティブ教師の課題を整理し、どのような教育力をどう高めればいいかについて論じました。学びながら授業をする姿勢の大切さ、地域の事情・情報を取り入れた授業の現地化、そのための情報収集力の重要性が指摘され、ビジネス日本語を「BJ基礎教育」と「BJ応用教育」に分けたうえで、それぞれの教育力向上ための具体的方法が紹介されました。

次に、品田潤子さんと近藤綾さんが、「ビジネスプロセスコミュニケーション研修のトレーナーに求められる能力」をトピックに発表しました。従来の日本語教育から「ビジネスコミュニケーション教育」へのシフトが求められていることが述べられ、教師はビジネス・コミュニケーションのプロセスの理解、経験、振り返り、再構築を教室で生み出せる能力こそが必要だという提言のもと、このような活動を生みだせるトレーナー(教師)のためのトレーニング・モデルが紹介されました。

3番目は、神吉宇一さんが「ビジネス日本語教育の捉え方―コンテンツとコンテクスト―」を発表しました。これまでのビジネス日本語教育におけるコンテンツ主義を批判的に分析し、教師は、ビジネスコンテンに詳しくなることより、学習の場を、ビジネスのコンテクストと教室のコンテクストとが出会う場と捉え直し、学習効果を最大化する活動に注力すべきだと論じました。そして、教師に必要な資質として、教室、仕事など、所与のものに対するクリティカルな姿勢と情報収集力であることを提言しました。

4番目の発題は、粟飯原志宜さんが「ステークホルダー間のコンフリクト」をトピックに、ビジネス日本語の研修生、受託機関、委託機関の間にあるコンフリクトに対応できるコーディネーターレベルの教師能力とは何かについて述べました。コーディネーターは、ステークホルダー間の一致しない思惑のバランスをとりつつ、社会人基礎力に裏付けられた「断る力」が必要であるという主張のもと、断るための具体的な諸準備の事例や断る力をつけるための実践練習例が紹介されました。

最後に、奥田純子が「『日振協ビジネス日本語準拠プログラム(仮)』から考える教師養成―産業人材育成と人間形成の視点から―」の発題を行いました。現在、日本語教育振興協会で準備中の当該プログラムの理念、目標、特徴、内容、教員要件を紹介し、外形的な教員要件を一歩進めて、産業界の要請に基づく人材育成と言語教育における人間形成の関係性や位置づけを問える教師、また、言語教育のイニシアチブを社会に向かって発信できる教師の養成が必要であることを述べました。

発題のあと、参加者間で質疑が行われ、今後も教育養成についての事例や課題を検討し、理論化を進めていくことが確認されました。

報告者:堀井惠子・奥田純子

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