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ビジネス日本語研究会 第19回研究会報告(2016.11.05)

元留学生ビジネスパーソンから後輩への経験的提案
「こんなビジネス日本語を学んでおこう」

2016年11月5日(土)に、兵庫国際交流会館に於いて第19回ビジネス日本語研究会を開催しました。約25名の方にご参加いただき、盛況のうちに終了することができました。

まず初めに、幹事の堀井惠子さんより、2016年9月9日、10日にバリで開催された日本語教育国際研究大会でのパネルセッションの報告が行われました。

続いて、担当幹事の奥田純子さんより、今回のテーマ「元留学生ビジネスパーソンから後輩への経験的提案」の趣旨説明が行われました。今回の趣旨は、元留学生がビジネスパーソンになり、どんな仕事をしてどんなことを感じているのか、生の声を聞き、これまでの自身の授業を振り返り、今後のビジネス日本語教育を考えてみようというものです。そして、話し合いの枠組みとして、「ビジネス日本語教育の領域」を配布しました。

次に、現在日本で仕事をしている4名の元留学生ビジネス・パーソンをゲストとして迎え、「後輩へのアドバイス」という形で、学生時代にどんなことを学んでおくとよいかをお話ししていただきました。

そして、お話の後で参加者はグループに分かれ、気づいたこと、疑問に思ったこと、参考になったことなどを自由に話し合い、最後に全体で共有しました。各グループからのコメントの一部をご紹介します。

  • どんなことに困難を感じるかを知ることができた(例えば、メール作成では、メール文の構成と言語形式だけではなく、誰にどの場面でどのくらいの丁寧さの文を書くのかを見分けるのが難しい。また、大量のメールの中から、重要度の高いものと低いものを見分けるのも労力が要る)。
  • 授業のヒントを得た(分からないことを確認する「確認スキル」は現場で役に立つので取り入れていきたい)。
  • 課題が見えた(社会人基礎力をどう伸ばすか、失敗から学ぶ力をどう伸ばすか)。
  • 受け入れ側が意識改革をすべきではないか(日本語母語話者と全く同じ新人研修をしていては、留学生も受け入れ側も疲れてしまう)。

今回の4名のゲストの発表資料を見ると、主に「敬語、メールの書き方」といったビジネス・スキルの習得を後輩にアドバイスしています。しかし、実際のお話では、それだけではなく、仕事の進め方への戸惑いや疑問をどう上司と話し合い納得するか、自分の考えをどう同僚に伝えるか、接客中に生じた問題をどう解決するかといったことに苦労されているということでした。このことから、仕事をしていくうえで、配布資料「ビジネス日本語教育の領域」の右側の「汎用的スキル」「文化対応力」も大いに求められているということがわかります。

4名のゲストのユーモアを交えたお話は、とても興味深く示唆に富むものでした。終了後のアンケートには、「元留学生の生の声を聞くことができてよかった」「受け入れ企業側の声も聞いてみたい」といった感想がありました。ゲストの皆さま、参加者の皆さまのお陰で充実した3時間となりました。また、次回の研究会でお目にかかるのを楽しみにしております。

報告者:村上佳恵

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