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ビジネス日本語研究会 第24回研究会報告 (2018.6.23)

22018年6月23日、武蔵野大学に於いて第24回ビジネス日本語研究会を開催しました。

研究会に先立ち、会員総会を開催し、2017年度事業報告と2018年度事業計画の報告が行われました。また、2017年度の会計報告が承認されました。

    第24回研究会は、外国人材を活用している企業関係者3名のパネリストに、どのような考えから外国人材を受け入れているのか、受け入れている現場でどのようなことが起きているのか等をお話いただきました。そして、最後に会場の参加者との質疑応答を行いました。54名の方にご参加いただき盛会のうちに終えることができました。

    • パネリスト
    • 講演1 斎間 孝氏(株式会社サイマコーポレーション 代表取締役)
    • 講演2 小野寺 知世子氏(光輝化成株式会社 総務部部長)
    • 講演3 足立 誠一郎氏(横浜商科大学 特任教授)

    講演1では、神奈川県藤沢市に本社を構えるサイマコーポレーション代表取締役の斎間孝氏にお話しいただきました。サイマコーポレーションさんは、人口減の日本においては、外国人材との共存こそが、日本の生き残る道であるという考えをお持ちのネジメーカーです。 初めに、日本のネジ業界は事業者数が多く競争が激しいうえに後継者不足であるというお話がありました。そのような状況で、戦略として、海外でのネジの基礎的なセミナーを開催したり、インターンの受け入れを積極的に行ったりしているとのことでした。最終顧客である自動車や建機といったメーカーが海外に出ているため海外進出が必須で、様々な外国語を話せるスタッフが欠かせないのだそうです。そして、インターンにどのような研修を提供しているかをお話しいただきました。一例として、工学系のインターンには、新製品のネジのデータの収集と解析、それから、展示会での新商品の説明といった課題を与えているそうです。最後に、外国人材の登用には、確かに住居の確保や宗教の違い等、手間がかかることも多いが、日本の人口が減少していく以上、20年30年後を見据え外国人材と共存していくことが、日本が生き残る道であるというお話がありました。

    当日発表PPT

    講演2では、神奈川県横浜市の光輝化成株式会社、総務部長の小野寺知世子氏にご講演いただきました。光輝化成さんは、「日本を好きになってもらう」「光輝化成を好きになってもらう」という2つをインターンシップ受け入れの目標にしている歯車メーカーです。 まず、歯車を通して、IoT(Internet of Things)等、最新のモノづくりの現場のご紹介がありました。他社との差別化のため、品質管理に力を入れていているそうです。今後の海外展開に際し、技術移転をする場合、現地スタッフとの橋渡しができるブリッジ人材が必要となるため、インターンシップの受け入れを行っているとのことでした。そして、インターンシップを経て採用された外国人材の業務内容や、受け入れによる社内の変化について伺いました。初めは受け入れに反対していた社員が、意欲的に学ぼうとする外国人材の姿勢に触発され、教えるために自らが学ぶという好循環が生まれたというお話がありました。最後に、外国人材については、昇給昇格といった面でのモデル社員が不在である等の社内の課題、また、就労ビザの関係で外国人材を多能工化しにくいといった日本の制度についての問題も提起されました。

    当日発表PPT

     講演3では、横浜商科大学 特任教授の足立誠一郎にお話しいただきました。講演3は、「企業の国際化は英語で行う」ことが前提の大企業の外国人材活用のお話です。 初めに、講演者の海外勤務経験の経験から、日本人が海外で活躍をするには、3S(会議中のsleeping, smiling, silent)をやめて、4P(presence, proactive, PR, presentation)が必要だというお話がありました。そして、メーカーに勤務されていた際の海外支社からのインターン受け入れのお話を伺いました。インターンを受け入れる理由の一つとして、受け入れ側の国際化が促進されることが挙げられました。そして、インターンの受け入れに際しては、インターンと受け入れ側双方にメリットがあるように、6カ月以上のインターンのみを受け入れ、一つの仕事を与えるというやり方をとっていた話が紹介されました。最後に、今後、日本のメーカーは、日本国内は労務費も上昇し市場も縮小するので、海外に出ていかざるを得ず、英語が必須となるであろうというお話がありました。

    このように、今回のセミナーでは、日本語学習者が外国人材として登用されていることが、日本の、そして世界の動きの中で起きているのだということを改めて考えさせられる刺激的なお話を聞くことができました。

    参加者からは、「普段聞くことの少ないビジネス界の話を聞くことができてよかった」「留学生を応援してくれる企業のお話を聞いて感激した」といったお声をいただきました。一方で、「外国人材が具体的にどのような日本語能力を求められているのか、知りたかった」というようなお声もありました。私共も、リクエストにお応えする企画を準備していきたいと思いますが、今回のパネルセションをきっかけに、参加者の皆さまも、身近なところから「もっと知りたい」と感じたことについて、調査・研究を始めていただけると、ビジネス日本語教育の発展につながっていくのではないかと思います。

    次回は、9月8、9(日)、インドネシアのバンドンにて、国際セミナーを開催予定です。多数の皆さまのご参加をお待ちしております。

    報告者:村上佳恵

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