2021年度研究会

第31回研究会報告(2021.6.12)

2021年6月12日(土)、コロナ禍のため会員限定のオンラインにて第31回研究会を開催しました。


研究会に先立ち、会員総会を開催し、2020年度の事業報告と会計報告、ならびに、2021年度事業計画、及び文化庁事業採択についての説明が行われ、2021年度予算案も承認されました。

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大から、海外からの入国制限が続き、日本語教育関係者には明るい話題が少ない状況が続く一方、現在も日本では多数の外国人社員が働いています。第31回ビジネス日本語研究会では、はじめに、日本国内の留学生の就活の現状や産業界および外国人社員を対象としたオンライン日本語教育の最新の動向について関係者から情報をご提供いただいたあと、これらを踏まえて日本語教育関係者に何が求められているのか、パネルセッションを通して参加者の皆様と共に考えました。

テーマは 「ビジネス日本語教育の現状と展望 ―求められる日本語教師像」。第一部では「留学生の就職活動の動向と就労者を対象とした日本語教育の動向」をテーマに、以下のお二人にご講演を頂きました。また第二部のパネルセッション「関係を構築する―ビジネス日本語教師がつなぐ外国人社員の活躍」では、以下の方々にご登壇いただきました。

 【講師】
テーマ:外国人材の活躍の支援と教育
林 洋右氏 (株式会社リクルート HRエージェントDiv. マネージャー)
山内 政樹氏 (International Communication Institute代表取締役社長)

■パネルセッション
【講師】
林 洋右氏 (株式会社リクルート HRエージェントDiv. マネージャー)
山内 政樹氏 (International Communication Institute代表取締役社長)
淺海 一郎 (内定ブリッジ株式会社 代表取締役・ビジネス日本語研究会幹事)

司会進行:村上 佳恵(法政大学・ビジネス日本語研究会幹事)

冒頭では今年度の外国人留学生の採用動向について、採用企業と外国人留学生の双方を支援する立場から、株式会社リクルートの林氏よりお話を頂きました。昨年度同時期の動向と比較しつつ、コロナ渦が新卒及び中途採用マーケットに及ぼしている影響と今後の展望について、文系人材と理系人材それぞれに分けて具体的にご説明頂いたあと、産業分野別、日本語レベル別の採用マトリクス分析をご提示頂きました。

その後、80年代より日本語教育事業を進めるICIの山内氏より、ビジネス日本語教育サービスを様々な日本企業に提供されている立場から、企業の求める日本語や、入社後活躍する外国人社員の日本語スキルの中身についてご意見が寄せられました。また採用時の企業支援のあり方として、口頭会話能力を測定する自社サービスONITとCEFRの活用についてご紹介を頂きました。

資料1は→こちら(PDF)

第二部のパネルセッションでは、冒頭で内定ブリッジ株式会社の淺海より、ビジネス日本語研究会の幹事が作成に深く関与した、経済産業省「日本人社員も外国籍社員も職場でのミスコミュニケーションを考える」動画教材及び学びの手引き、また厚生労働省「外国人社員と働く職場の労務管理に使えるポイント・例文集~日本人社員、外国人社員ともに働きやすい職場をつくるために~」など、日本語教育や企業支援の現場で使えるツールや、他省庁も含めた最新の外国人雇用政策動向の紹介がありました。また入社後の外国人社員の活躍を促進するため、外国人社員だけでなく日本人社員の支援の必要性や、留学生と企業とをどう「つなぐ」のか、日本語教師の今後のありかたについて、建設的な議論と、会場との質疑応答が行われました。

資料2は→
こちら(PDF)

当日はオンライン開催ということもあり、海外を含む多くの地域から、日本語教育関係者、キャリアコンサルタント、自治体職員など、外国人留学生や外国人雇用企業に接点を有する70名以上の方々にご参加頂くことができました。引き続き、このような研究会の開催を検討したいと思います。関係者のみなさま、ありがとうございました。
(報告者: 淺海 一郎)