2022年度研究会

第34回研究会報告(2023.2.18)

2023 年 2 ⽉ 18 ⽇(⼟)に、第 34 回研究会をオンラインにて開催しました。

今回は、⽂化庁令和 4 年度⽇本語教育⼈材の研修プログラム普及事業「就労者に対する⽇本語教師 【初任】研修」の委託を受けている3団体の代表がパネリストとして⼀堂に会し、「就労⽇本語教師 の質」をテーマに議論を⾏いました。

まず、ビジネス⽇本語研究会幹事の堀井先⽣より、趣旨説明がありました。

■【趣旨説明・話題提供】
▪趣旨説明「これからの S J 教育に向けて」
講師:堀井惠子(ビジネス⽇本語研究会幹事、武蔵野⼤学名誉教授)
就労者を対象とした⽇本語(S J)教育へのニーズが⾼まるなか、S J 教師・指導者の「質」が問わ れている現状を鑑み、研修に取り組んでいる代表者間での検討が必要との認識に⾄った旨、説明が ありました。

資料1は→こちら(PDF)

次に、パネルセッションでは、それぞれの団体が⾏っている研修概要の説明と、今回のテーマ「就労 ⽇本語教師の質」に関わるご意⾒、問題提起、提案等がなされました。

■品⽥潤⼦⽒(ビジネス⽇本語研究会幹事、BPC 研修サービス代表)
就労者向け⽇本語研修は、職務上の課題を達成していくプロセスで学ぶ必要があるという認識の もと、S J 指導者 Can do statements の開発経緯、内容と能⼒の考え⽅、モニター研修から⾒えて きたことについて、お話がありました。

資料2は→こちら(PDF)

■⻑崎清美⽒(特定⾮営利活動法⼈ ⽇本語教育研究所 理事)
te-ma大学院教育におけるPBLの実践例~外部・地域との連携について~
就労⽇本語教師が専⾨家としての「質」を担保するため、そして⾃⾝の付加価値を⾼めるために S J 指導者 Can do statements を活⽤する提案がなされました。
資料3は→こちら(PDF)

■平⼭智之⽒(⼀般財団法⼈⽇本国際協⼒センター⽇本語教育専⾨職員)
⽇系⼈の安定雇⽤から広く就労者の就職⽀援を⾏ってきた団体として、就労⽇本語教師の課題、 ⽂化庁研修のポイントと課題、就労⽇本語教師の質の可視化についてお話がありました。
資料4は→こちら(PDF)

■堀井恵⼦⽒(ビジネス⽇本語研究会幹事、武蔵野⼤学名誉教授)
ビジネス⽇本語研究会の知財を活⽤した就労者に対する初任⽇本語教師のための研修普及事業に ついて説明がありました。
資料4は→こちら(PDF)

■内⽥さつき⽒(コミュニカ学院校⻑)
⽇本語学校における S J 教育の特徴、課題、コミュニカ学院の取り組み、就職⽀援、そして、⽇本 語学校における S J 教師に求められるものについて、お話がありました。
資料5は→こちら(PDF)

そして、Web 会議システムの機能を利⽤した⼩部屋(ブレイクアウトルーム)に分かれ、パネリス トそして参加者も交えた意⾒交換が⾏われました。最後の全体共有では、S J 指導者としての質の担 保は⼤切なことではあるものの、現場や業務が多様化・複雑化するなかで、⽇本語教師⼀⼈で全て に対応しようとするのではなく、むしろ、他の専⾨性を持つ⼈々や利害関係者を巻き込み、良い形 を作り上げていく、他者をつなぐ⼒、協働⼒こそが今後ますます必要になってくるであろう、とい う⾒解が⽰されました。

研究発表も⾏われました。

テーマ:外国⼈材の活躍の⽀援と教育

■佐藤奈美さん(東⼤阪みらい⽇本語学校)、倉知礼花さん(Sun Asterisk)、⼩村志保美さん(コミュニカ学院) 外国⼈材の活躍の⽀援のための研修デザインの試み
■奥村聡美さん(東洋⼤学) 外国⼈留学⽣と⽇本⼈学⽣か “協働で”つくる⽇本語プロジェクトワーク
■鈴⽊綾乃さん(横浜市⽴⼤学) ⽇本企業で働く外国籍社員が必要とする⽇本語―物流企業で働 く外国籍社員を対象に

今回も、100 名近い皆さまにご参加いただきました。例年、2 ⽉の研究会では、参加者同⼠の対話や 交流を⼤切にしていますが、今回もブレイクアウトルームではどの部屋も活発な意⾒交換が⾏われ ていました。ご参加くださった参加者の皆さま、ご登壇いただいたパネリストの皆さま、どうもあ りがとうございました。 (報告:多⽥苗美)