2024年度研究会

第38回研究会報告(2024.11.30)

2024年11日30日(土)に、第38回研究会をオンラインにて開催しました。

第38回ビジネス日本語研究会では、「ビジネス日本語における『チームワーク』を考える」をテーマに開催しました。現場ごとにチームワークの定義や求められる形は異なり、個人によってもその捉え方に違いがあります。本研究会では、日本語教師の視点から得られたアンケート結果を活用した話題提供やゲストによるディスカッション、参加者同士での意見交換を通じて、参加者全員が『チームワークとは何か』について深く考える貴重な機会となりました。

【趣旨説明】

堀井惠子氏(ビジネス日本語研究会幹事、武蔵野大学名誉教授)

日本で働く外国人労働者が増加し、さまざまな課題が生じる中で、今回は仕事をする上で重要な「他者との協働遂行能力」や「チームワーク」に焦点を当てることが提示されました。就労現場における外国人材との協働に関する課題や、日本語教育現場でチームワークを育成する際の課題について触れ、本プログラムを通じてチームワーク力をどのように育成するか個々に構築してほしいと提言がありました。
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【報告・話題提供】
北内直子氏(ビジネス日本語研究会幹事、キャリアコンサルタント)
「教育現場では『チームワーク』をどのように考えているか」
就労者に対する初任日本語教師のための研修事業を修了したメンバーで構成される「修了生の会」の日本語教師に行ったアンケート結果をもとに、日本語教育におけるチームワーク育成の重要性やそのための方法及び評価について、現場はどう考えているのか報告がありました。日本語教育現場の教員はチームワークの育成は重要だと捉えているものの、チームワークとはどのようなものか、いかに育成するかの捉え方は多様であることが示唆されました。
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【パネルセッション、ディスカッション】
司会 栗原由加氏(ビジネス日本語研究会副代表幹事・神戸学院大学 教授)

・三宝電機株式会社 総務部 担当部長 兼 人事企画課長 池田英一郎氏
・株式会社SPeeCH 代表取締役 澤野成央氏
・株式会社千代田精機 総務部 総務課 課長 坂井文彦氏

まず司会から登壇者3名に「チームワークとはどのような力か」という問いが投げかけられました。それに対し、「まずは個の力をつける」「個の力を高めることでチーム全体の力が向上する」「チームに属している意識を持つ」「個々がそれぞれの動きで問題解決に取り組む」といった、さまざまな観点が挙げられました。続いて、ゲスト同士で「チームワークの良さをどのように測るか」「チームワークで心がけることは何か」といった質問が交わされ、意見交換が行われました。
その後、参加者はグループに分かれ、「チームワーク力とは何か」「どのように育成するか」について議論を行い、全体で共有しました。さらに、「チームワークは日本特有のものなのか」という問題提起をきっかけに、協調性やリーダーシップなど、チームワークに関わる要素について活発な議論が展開されました。

【研究発表】
■田中久実(Language Plus One)・國井久美子(フリーランス)
  日本語に習熟していない外国人材向けの英語キャリアカウンセリング:
―支援者(キャリアカウンセラー)の実践力向上を目指した取り組みからー企業との接点をみつけるためのヒアリング項目の開発:両者が課題を共有するために

■早川晶子(筑波大学)
外国人看護師とより良いコミュニケーションをとって働くために必要な支援は何か:
―共に働く日本人看護師へのアンケート調査からー

2024年は日本語教育関係者にとっては大きな変化があった年でした。皆さんご多忙な中、今回も、60名近い皆さまにご参加いただきました。ご参加くださった皆さま、ご登壇いただいた皆さま、どうもありがとうございました。 (報告:内田さつき)